喫茶店純愛歌
砂漠の中でオアシスを求めるように見つけた喫茶店は、中世ヨーロッパを思わせるようなゴテゴテの装飾の人形があちこちに配置されていた。
彼女らの視線を浴びながら食べたナポリタンは麺が太く、ずっしりとしていて二、三口目でもお腹いっぱいになれるぐらいだった。
ほどなくして、ゴテゴテ人形にも愛着が湧いてきた。店主によって、なんの下心もなく置かれているとなんとなく悟ったから。
ずっと、こういう追体験がしたかった。
さっぱりでもない。しつこいぐらいに重みのある味が太いパスタに絡まって。
ハリのある幕で覆われている。
「ごちそうさま」と言われるものの基準は時代とともに変わる。
けれど、古くてなんだか不器用にも思える感覚を求めたくなる心は、今だけでなくいつまでも大切にしたい。
次はここで、あんみつ食べようかな。ナポリタンとほぼ値段が変わらないのはちょっと納得いかないけれど。それでもまた、ちょっと不器用な感覚に浸りたいから。