避雷針

妄想が多め

ジャンプ

 

バニラの夢の中にいる。なんて器用な夢なのだろう。僕の欲しいものだけを与え続けてくれる。現実を蹴りやって僕をどこへ連れて行く?そのくせ誘いをかけたまま、溶けきるまえに帰してくれる。

本当に一体となるには自分の意思でフレームを捨てなければならない。君のことを君と呼んでいる間は一つになれない。

だけど君のことを君と呼んでいられる時間は心地いい。僕の指の感触は君だけが感じるべきものだし、君がまばたく音を僕が聞きたい。だから僕はフレームを捨てない。

もしかしたら、もうすでに僕の中には何人かが溶け込んでいるのかもしれない。ああ今右のこめかみを触っただとか、触れたのは本当は僕ではなかったりして。