避雷針

妄想が多め

2019-01-01から1年間の記事一覧

俺の女の子

思い出す 日曜の昼 ショッピングモールに出かけて キッズルームで遊ぶ彼女をただ眺めていた 一通り買い物が済んで 車に乗って帰る時 オレンジ色の微笑みが眠る彼女に降る 明日の決意を密かにする 俺の女の子は 今等しく情熱を分かつ 若い男の子と 俺はその情…

簡易夜空

くしゃくしゃと丸めたガムの銀紙の中に 無数の星が広がっていた 天と地が反対になって 私は夜空に落ちた 足元に星が散らかっていた 蹴飛ばしてみたり飛び跳ねてみたり 動き出した星は加速して どこかへ消えていった 紺色の地平に腰掛けて 右手で星を浚う で…

贅沢

ドライヤーの熱風に吹かれて いつかのことを思い出した お母さんの手は強引に私の髪を梳かして 痛い、もっとやさしく と嘆いては じゃあ自分でやりなさい と叱られ 不本意ながらごめんなさいをし 不機嫌なまま髪を結わいてもらう 欠けてるから欲しいのではな…

季節柄

気温に反比例する街の輝き 道行く人を平等に照らしてやってもいい 諸人こぞる、しかし私の空気 思い上がるような話ではないけれど 少々香ばしい思い出である 協会にて 荘厳は怖い 忠実な絵画は動かない それでいて生身の人間が動く 静かに響く賛美歌 干上が…

体に悪いことをしよう

少しの罪悪感も感じてはならない なぜならこれは快楽だから 折り曲げられた生膝が艶めかしく飛ぶ ブーメラン突き刺さる春の夜中

自分の機嫌は自分で取れ

疲れちまってるんだよ、放っておき 貴方は言う 掌は額に触れ、そっと撫でる 前髪を親指の先で2、3度はらう 眠る顔は幼く見えて、訳もなく涙が落ちる 都市に繰り出すとき、人は0でなければならない この都市の人々はマイナスを帯びた0 そして眠るとき、やっと…

はりつける

僕は首を傾げた 人が壁にはりつけられている これは何の広告なのだろう 駅のホームやビルの看板にはりつけられている 彼らは呻く、商品名を 新手の広告だな 生身の人間の身体を使うだなんて 型落ちしたネットニュースが騒ぐ 新たなメディアの誕生 いろんな表…

雨の日

あっ 母のお叱りが待っている 遭遇しないよう、自室で詩を読む 嵐の前の静けさというけれど 人が勝手に作り出すものなのであって だから他人事に言うことはできない 静けさを作ることで、後には大層なものができあがる なんというイリュージョン

滲み

滲みはどこまでも境目のない 曖昧なままでなだらかに終わっていく グラデーションは静かに移り変わる色 と決めつけたがりは思っている アナログは本当にアナログなのだろうか ミクロの存在に問うてみる 線引き、区画、どれもこれも生活必需品 滲みも 解像度…

凝視とパッチワーク

彼女は自分を見つめていた 穴が空くほど見つめていると思ったら 穴が空いた その時の彼女の顔 喜怒哀楽の四択から消去法で哀 私はその穴をなくすことができない すると笑顔の女性が 使い古した布きれでパッチワークを作った その時の彼女の顔 喜怒哀楽の四択…

この赤

地球外生命体とかいうやつに遭遇した たぶん、そんな感じだと思うけど 驚きすぎて鼻血出した すると向こうが腕を爪で切って、皮を剥いて向こう自身の体液を見せてきた 綺麗な黄色の液体だった、そのまま向こうはどこかへ消えていった それが何を示すのかは知…

避雷針

私が刺されます私が私が 何もしない、何とも思われない 私はこの役目を誇りに思う 突き立てられるワイヤーに喉元を差し出す 私だけが心地よくなる犠牲 怯えている人をよそに、見上げて、一突きを待つ

生乾き

まだ乾かぬ傷口は物語を終わらせない 細胞にまで持ち主の性格の遺伝がいっているようでなにより 眠る前に隣とおしゃべり、楽しくて眠れない 毎度終わりは不本意に訪れる でも今回は 細胞が煩くて 私から話を切り上げた 体は正直とよく言うけど もしかして正…

単発〜OK!新時代型のおしごと!

【◎単発OK!超簡単!アルバイト】 帰宅ラッシュのベルトコンベアで運ばれてくるお客様に、等間隔でいらっしゃいませを並べるだけ! Q 人と関わるのに、そんなに機械的でいいのでしょうか? A 相手もこちらを機械としか見ていないので大丈夫♪ Q 接客の姿勢と…

一曲リピート再生

一曲リピートをするのが好きです。好きな曲ずっと鳴らしていたいから。 飽きないの?って疑問に思うかもしれませんが、その繰り返しの度に、このメロディーが、この歌詞が、と毎回切なくなったり嬉しくなるので、飽きません。 でも、一曲リピートする奴はモ…